KAMEDEMYでは、学ぶ力そのものを高めるために、「我々は、どう学んでいるか?」についての科学や、さまざまな視点、そして広範囲に応用が効く知識をお伝えしています。
今回は、「小さな本質」について、一緒に考えたいと思います。
読み上げ音声も用意しているので、移動中、隙間時間、ながら作業などを活用して、お聞き(お読み)ください。
なぜ、多くの人が「本質」を避けるのか?
私は、人の学習を研究する「toiee Lab」を運営する中で、たくさんの親御さん、教師、講師の方々とお会いしました。また、自己の成長に積極的なビジネスパーソンとも、多くお会いしました。
「本質を学ぶことは、とても大切だ」
に関しては、お会いした全ての方が同意されていました。誰もが、当たり前に「本質を学ぶこと」が大切だとわかっています。
しかし、ほとんどの方は、「でも」と続けます。
教師の方は、「子どもたちに、本質に近づくような教育を提供するのは理想的だが、決められたカリキュラムや、受験を考えると、どうしてもノウハウを伝えるしかない」と言われます。
向上心が高いビジネスパーソンも、自分が不得意な分野だったり、挫折した分野では、「本質的な内容」を聞いても、無視します。そして、「で、どうしたらいいの?」「魔法はないの?」となります。
この根底には、「本質を学ぶことは大事だが、すぐに結果が出ない」 と言う、間違った前提 があるのだと思います。
知識が整理され「ハウツー」が生み出されるようになった現代社会において、ノウハウの成功体験によって、「本質は時間がかかるもの」だと、刷り込まれているのかもしれません。
本当に、本質からスタートすることは、時間がかかるのでしょうか?
小さな本質から始める
本質と呼べるものには、大きさ(抽象度の高さ)ものから、小さいものまであります。さまざまなものごとを包含する高度で、抽象度の高い本質もあれば、「視点」と呼ぶほうがしっくりくるような「小さな本質」があります。
抽象度の高い本質は、理解する、体得するには時間がかかります。多くの思考、実験、体験が必要になります。
一方で、小さな本質は、学ぶのも、理解するのも、行動に変換するのも、比較的簡単かつ、素早くできます。一見、ハウツーに見えるかも知れませんが、奥が深いです。小さな本質は、より高度な本質へ向かい、素晴らしい入り口になります。
何かを学び始める場合、「小さな本質」と「単なるハウツー」を見分けて、小さな本質を選ぶようにすることが、とても大切です。
料理における、小さな本質は?
料理の場合、以下のようになります。
ハウツー : クックパッドのレシピ
小さな本質 : 味見でメンタルモデルを作ること
料理が苦手だったり、美味しく作れるようにならない原因は「ハウツー」から入り、ハウツーを真似ることにあります。
レシピを見ながら作ると、短期記憶しか使わないため、レシピを覚えません。調味料の比率も、味の違いが何によって生まれるかも、わからないままです。
言われるがまま、醤油、みりん、酒を計量して投入するだけでは、料理の腕も、スピードも上がりません。スピードが上がるには、同時並行や、準備の工夫が必要ですが、レシピを記憶し、手順をイメージすることが必要です。
では、小さな本質は、どのようなもので、どう実行するのでしょうか?
例えば、「冷奴」という単純な料理1つでもスタートすることができます。冷奴を対象に、味見をしてメンタルモデルを作るように、アプローチし始めれば良いだけです。やればわかりますが、奥が深いです。
料理というほどのことがないものでも、小さな本質を始めることができます。
しかし、この入り口から、やがては「地元のレストランで食べた料理をヒントに、新しい料理を家で作る」ことができるように成長していきます。
小さな本質は、即効性があります
料理の例で説明すれば、レシピを使ってはいけないわけではありません。レシピというハウツーは、「先人の知識、経験」の結晶です。
その結晶を利用するときに、「味見を通じたメンタルモデルの構築」を取り入れれば良いのです。この小さな違いが、大きな違いを生みます。そのためにやるべき行動は、すごくシンプルです。
どんな味になるか(デタラメでも)予想する
入れてみて、味見をして確認する
味がイマイチなら、次の行動(予測する)を決め、1に戻る
このようなループを繰り返すことで、私たちは、脳の中にメンタルモデルを作っていけます。もちろん、ここで役立つ知識が、本質に関わる知識です。
醤油は、味付けの中で、どんな役割を果たすのか?
みりんと、酒は、どんな役割が共通していて、どんな違いがあるのか?
塩と砂糖の役割の違いは?
などの基本とも言える知識を手に入れておくと、メンタルモデルの構築が早くなります。
これが「小さな本質」から、始めることの全貌です。
まとめ
小さな本質から始めることは、
学ぶ負担が少ない : すぐに始めることができます。完璧を求めず、小さな一歩を楽しむことで、学習へのハードルが下がります
即効性が高い : ハウツーを本質的な学び方で組み合わせることで、スピードアップします
到達レベルが違います : 小さな本質からスタートすると、ハウツーを真似るだけとは、到達できるレベルが全く違います。同じように仕事をしていても、同じように勉強していても、同じようにスポーツをしていても、到達レベルに大きな差ができます
学ぶことが、楽しくなる : 何よりも大事なことです。本質を会得していくプロセスは、アハ体験です。洞察を得る瞬間、私たちの脳は快楽物質を放出します。
メリットがたくさんあります。
それに、「たった一度の行政の手続き」などではなく、日常生活や、日々の仕事に関わることなら、本質から入ると、目の前の課題だけでなく、似たような別の課題にも効いてきます。
小さな本質といえども、応用性が高いので、投資効果も抜群です。
小さな本質を、お伝えしていきます
「小さな本質」という視点で、さまざまな分野を見直してみると良いです。日々の仕事や、料理、掃除、趣味などで、小さな本質を探し、実行してみてください。
きっと、驚くような出来事が待っていると思います。
KAMEDEMYでは、私が発見した「小さな本質」を、あれこれお伝えしていきます。また、その発見したプロセスもお伝えするので、ご自身で見つけられるようになるはずです。
毎日が学びと発見になるように、これからもお手伝いします。
お楽しみに!
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