一昔前には、想像もできませんでしたが、私たちのポケットの中には、高性能コンピューターがあり、いつでも「インターネットの情報を検索」できます。
例えば、「服を早く畳む方法」を検索すれば、一瞬でTシャツを畳むハウツーを、
動画
画像
わかりやすい説明
で見つけることができます。
本当に便利ですが、「ハウツーの落とし穴」にも、ハマりやすくなりました。
成功体験が「失敗」を生み出す
日々の生活で、ちょっとした問題を解決する「ハウツーを検索し、解決」するという成功体験を繰り返すうちに、私たちは、
何か問題があったら、それを解決する便利なハウツーを見つけたらいい
と思うようになります。
ところが、 「ハウツー」では、解決しない問題でも、ハウツーを探そうとしてしまいます。
なぜ、料理が上手くならないのか?
ラーニングの重要性をお伝えするために、よく使う例があります。それは、料理です。料理が苦手だったり、上手にならない方の多くは、
レシピというノウハウ
の罠にハマっています。
レシピは、とても便利で、有用ですが、上手く使わないと「料理上手」にはなりません。さらに悪いことに、作っても「美味しくない」という失敗も、頻繁に引き起こします。
それは、なぜでしょうか?
レシピが前提とするもの
例えば、料理のレシピはハウツーです。レシピには、
じゃがいも 3つ
砂糖 小さじ1
醤油 小さじ2
砂糖 小さじ1
みりん 小さじ1
などと書いてあり、料理手順も書いてあります。量を守って、手順を守っても、美味しくできないことがあります。
理由は、とてもシンプルです。
「ジャガイモ3つ」といえども、大きいものもあれば、小さいものもあります。また、ジャガイモが甘い場合もあれば、それほど、甘みがない場合もあります。
醤油も、砂糖も、物によっては、コクが強かったり、弱かったり、塩味が強かったりと、いろんなパターンがあります。
料理のレシピを作る人は、「目安」として作っています。状況に合わせて、調整してもらうことを、前提として作っています。
ところが、ハウツー意識の人は、「この通りに作ればいいんだ!」と思い込んで、調整をしません。結果、用意した材料や、手順の小さな違いで「不味くなる」ことが起こります。
ハウツーの罠は、連鎖する
ハウツーの罠は、これでは終わりません。この失敗は、連鎖します。
もし、「言われた通りに作ったのに、美味しくなかった」場合、ハウツーにハマっている人は、どのような行動に出るでしょうか?
「別のレシピ(ハウツー)を探す」
ということをします。
「このレシピは、美味しくなかった。イマイチだった」
「もっと良いレシピを探そう」
このように思います。
そして、別の何かを試したとき、「たまたま、美味しくできた」とします。すると、あなたは
「良いレシピを探して、その通りに作るのが正解」
という考えを、より強固にします。
実は「たまに発生する成功体験」は、我々の脳が「快感」を覚えてしまい、過度に評価しがちです。これはギャンブルにも共通する、脳の報酬系の悪い側面です。
ハウツーアプローチを繰り返し、たまに成功することで、我々は、ますます、ハウツーにハマってしまいます。
いつも、ハウツーで解決できるわけではない
今回は、料理を例に説明しましたが、料理以外に当てはめてみても、「同様の現象」が起こるのは、容易に想像できますよね。
例えば、
「こうやったら、ビジネスが成功する」というノウハウ
「こうしたら、成功を引き寄せる」というノウハウ
「こうしたら、子供が勉強をするようになる」というノウハウ
いろんなノウハウを調べ、それを試す。たまたま、状況が合えば成功するが、しばらくすると、効果を失う。
簡単にハウツーが見つかれば良いですが、ときには「大きな損失」を被った上に(例えば、高い教材や、セミナーに出席するなど)、何も解決しないこともあります。
では、どうしたら良いでしょうか?
原因は、ノウハウが悪いのではなく「調整できないこと」にあります。調整能力を身につけるには、「きちんと、学ぶこと」です。
専門家と初心者では「重要度の階層が違う」
あなたは、「写真」を撮影しますか?あるいは、写真(カメラ)を趣味にしたいと思ったことは、ありますか?
私も、過去は「カメラ」を趣味にしたいと思っていました。当時の私が、最初にしたことは、
「入門にぴったりな、ちょっと高価なカメラを選ぶこと」
でした。
当時は、Olympus PEN というデジタルカメラが出たところでした。レトロな見た目に、最新の技術を詰め込み、こだわりの一品でした。全部で、20万円近くしたと思います。
これを購入し、意気揚々と「パシャ」っと一枚撮影しました。
「?」という気持ちになったのですが、めげずに、ベランダに出て、眼下に広がる街並みを撮影しました。そして、「???」となりました。
私は「良いカメラを買えば、綺麗な写真が撮れる」と思っていました。あるいは、良いカメラを買い、カメラノウハウを読んで、実践すれば「すぐに綺麗な写真」が撮影できると思い込んでいました。
この思い込みは、見事に打ち砕かれました。
後で知ったことですが、「写真家」や「カメラを趣味にし、美しい写真を撮る」人たちは、もっとも重要なのは「眼」だと考えています。
ものを観察し「お!」「面白い!」「不思議!」「伝えたい!」というものを見つける眼が大切です。この時の眼は、ボヤッとしたものではなく、「構図」と呼ばれるものだったりします。
しかも「この構図で撮ればOK」というノウハウではなく、
こんな角度から
こんな光の入れ方で
こんな色の濃淡で
こんなサイズ感(よりや、ひきなど)で
など、言語で表しづらいものです。
このような「眼」を養うことが、もっとも重要だと、写真が上手な人たちは、考えています。ところが、初心者(私)は、見当違いのものを見ていました。つまり、「カメラを買って、ノウハウを実行すればいい」と思っていたのです。
ハウツーは「中級者以上」になってから
ハウツーは、とても便利です。それは、初心者を脱し、自分で「必要なもの」が見抜けるようになったり、「良し悪しを判断」できるようになった時に、とても重宝します。
学習のヒントにしたり、料理のスタートラインに使うことができます。
もし、初心者の間に「料理の本質」を学んでいると、料理のレシピを覚えるのが楽になったりします。
ハウツーの前に「学ぶべきもの」
では、ハウツーよりも先に学ぶべきものは、なんでしょうか?
それは、学ぶテーマによって違ってきますが、基本的には、以下の通りです。
仕組み、構造、本質
姿勢、考え方、視点
学び方
料理であれば、味を構成するものは何か?調味料のそれぞれの特性を知ること。そして、料理中に、「味見をして、次どうしたら良いか(醤油を入れるか、塩を入れるか、胡椒を足すか?)を考え、実行し、その結果を確かめる」という行為です。
つまり「料理の仕組み」を、日々の料理の中で、深く理解していく、探究していく学び方(料理の取り組み方)を学ぶことです。
すると、料理が面白くなるし、アレンジできるようにもなります。
KAMEDEMY で目指すもの
KAMEDEMY(カメデミー)では、「初めて学ぶもの」や「再チャレンジ」する際に、より良い
仕組み、構造、本質
姿勢、考え方、視点
学び方
は、何か?を考え、記事、ウェビナー、イベント、教材などでお伝えしていきます。
お楽しみに!