あなたは、新しいことを学ぶとき、どのようなアプローチを取りますか?
多くの人(私も含めて)は、ハウツーやマニュアルから入ると思います。例えば、ワープロアプリを使い始めようと思ったら、操作マニュアルを見ると思います。ここを押すと、こんなことができる、あそこを押すと、こんなことができるなどを見て、使い方を学ぶと思います。
もし、目次を入れたいと思えば、インターネットやヘルプを検索することで、操作手順がわかります。自分が何をやっているか、その意味や仕組みを理解していなくても、とりあえず、言われた通り、指示された通りにやってみて「目次が入れられた」ということで、やったーとなります。
しかし、このようなアプローチだけでは、現代の変化が多く、複雑な世界には、対応できません。
もう1つ別のアプローチである「仕組みから始めるアプローチ」があります。そのことについて解説します。
ワープロアプリで、ハウツーの問題点を考えてみよう
ハウツーは便利です。しかし、罠にもハマりやすいです。詳しくは、以下の記事をどうぞ。
ハウツーが成功するには、「前提条件が合致していること」が必要です。ワープロアプリであれば、以下のような条件が一緒ならハウツーが機能します。
OS (Windows、macOS、iOS、iPadOS、Androidなど)
OSのバージョン(Windows10、11など)
アプリの種類(Googleドキュメントじゃなくて、Word)
アプリのバージョン(Word2000ではなく、Office365のオンライン版)
例えば、ページの入れ方のハウツーは、Wordのバージョンによって、操作するボタンが違ったり、やり方が違ったりします。さらに、Googleドキュメントや、Pages(Macのワープロアプリ)になると、名称やボタンの位置などが違います。ですので、特定のWordのページの入れ方を「覚えただけ」なら、応用が効きません。
つまりハウツーは「前提とする条件」が合致しないと、機能しません。
機能しない場合は、前提とする条件を合致させるか、あるいは「ハウツーの方法を調整」することです。ところが、その調整は、そう簡単にはできません。なぜなら、ハウツーは「無駄の削ぎ落とした情報」だからです。
その他の場合など、考慮されていません。
ちなみに、ビジネスハウツー(成功法則みたいなもの)が機能しづらいのは、前提条件が合致しないためです。ビジネスは、一人一人固有です。誰一人として、同じ条件の人はいません。したがって、必ず「調整」が必要になります。時には、大掛かりな「調整」が必要かもしれませんし、全く使えない場合もあって、アプローチを変える必要がある時も多いです。
では、どうしたら良いでしょうか?
もっと強力な学習方法、アプローチがあります。それは「仕組みを理解して、自分でハウツーを作る」というアプローチです。
ワープロアプリの仕組みを理解する
先ほどの「ページ番号」で考えてみましょう。
ほとんどのワープロアプリは、ページを
ヘッダー ・・・ ページ上部の余白
ボディー ・・・ 本文が入る場所
フッター ・・・ ページ下部の余白
という3つに分けるような設計になっています。ヘッダーは「ヘッド = 頭」です。フッターは?というと、もうお分かりですよね。「フット foot = 足」です。ということで、上部、下部ですね。そして、ボディーは体ということです。
面白いネーミングですよね。
Googleドキュメントも、Wordも、Pagesも、Libre Officeも、同じような構造を持っています。Web版でも変わりませんし、iPhone、Android、iPadでも同じです。
そして、ヘッダー、フッターは基本的に「共通」させるように作られています。ヘッダーに何かを書き込むと、すべてのページに反映されます。もちろん、この仕組みを解除することもできます。
では、すべてのページに番号を入れたいとしたら?と考えれば、どうしたら良いでしょうか?
ヘッダーか、フッターに「ページ番号を入れる特別な設定」をするだけです。仕組み上、どこかのページで、ページ番号のための操作をしたら、すべてのページに反映されます。なぜならば、ヘッダー・フッターは、共通だという仕組みだからです。
このように理解しておくと、初めて触る時でも、自分で「ページ番号の入れる方法を推測」できます。ヘッダー、フッターとういメニューを見つけて、そこからアプローチしたら解決するかもしれません。あるいは、ページの余白をクリックしてみて、そこから解決するかも知れません。
仕組みから「ハウツー(アイデア)」を発想する
上記では、ワープロアプリのほとんどが持つ「仕組み」を知り、そこから「どうすれば良いか?」のアイデアを出しました。このような推論は、誰もが自然に実行できます。
なぜなら、私たちは、生まれつき、このような回路を持っています。しかも、太古の昔から発達させ続けてきた部位です。fMRIなどでも確認されている脳の仕組みです。神経科学や心理学の世界では「モデルベース・システム」と呼びます。
私は、このモデルベースシステムを活用する学習を「強い学習」と呼んでいます。一方で、ハウツーを繰り返して覚えるパターン学習は「弱い学習」(モデルフリーシステムを使う)と呼んでいます。
・・・
とにかく、私たちは、仕組みがわかると「じゃあ、どうしたら良いだろうか?」と発想できる生き物なのです。
その回路を活性化するには、仕組みを知って、アイデアを出して、実際に試してみて、できるか確認すれば良いだけです。しかも、私たちの脳は、「アイデアを試している最中に、別のアイデアを考える」という能力を持っています。
失敗を恐れず、推測し、試してみることが大切です。あなたの脳をもっと信じて、活性化すると、私たちは、もっと学べるはずです。
仕組み(科学、普遍的ルール、共通点)から、再入門しよう
学ぶの語源は、「まねる」だそうです。言葉の通り、学び始めは「真似る」ことから始まります。
現代では、無駄を削ぎ落としたハウツーが手に入ります。サクッと解決策を記載している動画や、記事をGoogleが高く評価するので、ハウツー万歳の時代です。さらに、ハウツーはたくさんあり、検索したら次のハウツーが見つかります。
そして、何回かのハウツーを試したら、前進できます。
しかし、何度かハウツーで前進したのなら、一旦立ち止まるべきです。そして「仕組み」を学び、自分でハウツーを作り出すような学習に切り替える必要があります。つまり「強い学習」に切り替える必要があります。
なぜなら、毎年のようにOSはバージョンアップされ、アプリは更新され、駆逐されて違うアプリを使うことになったりと、変化が激しいです。
また、私たちが現代を楽しく、生きていくには「強い学習のアプローチ」が欠かせません。(なぜなら・・・は、複雑な話なので、また今度ゆっくりします)
もう1つのアプローチを試してみよう!
もし、あなたが伸び悩んでいる分野があったり、ずっと初心者のままの分野があれば、「ハウツー」ではなく、「仕組み」を学んでください。仕組みとは、
科学
理論
メンタルモデル
共通の仕組み
原則
普遍
などと表されることです。それらは「もし、こうしたら、こうなる」という予測を与えてくれるものです。予測を与えてくれるものが「仕組み」です。それを手に入れると、私たちの脳は「自動で、アイデアを出して」くれます。
是非、仕組みを探してみてください。
きっと新しい発見があると思います。