今からちょうど一年前の2023年12月末、ラーニングチャレンジ(ランチャレ)という企画をスタートさせました。1年経って、学んだこと、より良い方法について、シェアします。
失敗から学ぶのが、とても効果的なので、是非!
TL;DR: (結論)
「長すぎて読んでない」って、ならないように結論を書いておきます。
フィードバック分析は「新しいこと」を始めるタイミングで書き、プロジェクトごとに、振り返り期間を変える
振り返りは、リマインダーを活用し(カレンダーでもOK)、ランダムに発生する振り返りを是が非でも実行する
日記を習慣化し、日記で、月の振り返りや、年の振り返りや、半年振り返りを行う
以下では、なぜ、上記なのか?そして、習慣の科学の視点からの合理性についても説明します。
まずは、失敗(とは言い過ぎだけど)の顛末から説明します。
ランチャレとは?
ラーニングチャレンジの略です。P.F.ドラッカーが提唱し、多くの経営者、エグゼクティブに強く推奨した「フィードバック分析」を一緒に実行し、習慣化し、成長しよう!という取り組みでした。
P.F.ドラッカーのフィードバック分析とは、
新しいことを始める時、「期待すること」を書き留めておき、最低でも9ヶ月後、最長で18ヶ月後に振り返りを実行し、学びを得ること。強み、弱み、仕事の仕方など、自分自身を深く知る取り組み
です。
ランチャレでは、短期(月次、毎月)、中期(四半期、3ヶ月ごと)、長期(12月末に実行)のフィードバック分析(FILMシート)を書いて、振り返りを繰り返し、多くを学んだり、成長したり、フィードバック分析を習慣化させる取り組みとしました。
図にすると、以下のようになります。
ランチャレでは、毎月、月初めに先月の期待する結果と、実際の結果(今月の様子)を比較し、振り返りを行いました。良かった点、改善点、予期せぬことなどを挙げて、次の1ヶ月に反映させる気づきを得ようしました。
そして、来月の「今月の期待する結果」「プロセス」「前提」を書き出しました。
同様に、3ヶ月バージョンも作り、3ヶ月視点での振り返りも実行しました。同様に、1年バージョンも実行するというものでした。
このプログラムを通じて「フィードバック分析の有用性」を実感し、習慣化することを狙いました。
一緒に取り組むということで、上記のような方法を考案しましたが、1年間、取り組んでみて、「私が、個人的に実行していた方法」の方が有益だとわかりました(後述します)。
ランチャレの振り返り
良かった点は、いくつかあります。そもそも、フィードバック分析を聞いたことがあるけど、やったことがない人が大半です。やってみたら、すごくシンプルで簡単なのですが、中々行動に移せません。
実際に書き込んで、振り返るという方法を体験してもらえたことは良かったと思っています。実行は簡単、続けるのは難しいということをお伝えできたかと思います。
よくなかった点は、まず、「私個人は、フラストレーションが多い」体験でした。
毎月書くというのは、一見よさそうですが、落とし穴がありました。最初は良かったのですが、回を重ねるごとに、フラストレーションが貯まる仕組みでした。
初回は「ワクワク」しています。今月の期待を書いて、来月を楽しみにする。大抵は、期待に達しません。期待は裏切られます。でも気を取り直して、もう一回!とします。ところが、今度も期待は裏切られます。もちろん、うまくいくものもあります。
しかし、多くの場合、「1ヶ月では、成果は出ない」ものです。ダイエットですら、3ヶ月以上取り組まないと、目に見えた変化は起きません。
結果として、モチベーションが下がり、取り組まなくなっていきます。私は主催者なので、意地でも続けました(強制力だけ)。
自分がイメージしている期待に届かなかったり、何か前進していることを感じられなければ、私たちは、学習をストップして方向転換するような回路が、生物として埋め込まれています。
この回路がオンになり、強い意志や外部からの強制力なしには、継続できなくなります。
原点回帰すべきだと気づきました。
私が何年も続けてきたフィードバック分析の方法
ものすごくシンプルです。P.F.ドラッカーのやり方を「素直に」実行しているだけです。その方法は、以下の通りです。
(1) 新しいことを始めるタイミングで書き込む
何らかのプロジェクトを始めたり、何かの学習を始めたりした時、「書き込み」を行います。書く内容は、ざっと以下の通りです。
期待する結果
プロセス
前提
今の状況、感情、コンテキスト(文脈)
(2) 期間を決める
1と同時に行いますが、振り返る期間を決めます。なぜなら、プロジェクトによって、期待する期間が違います。
例えば、「ダイエット」なら、最低でも半年ぐらい先に振り返ったほうが良いでしょう。ダイエットのために、運動習慣をつけるのであれば、1ヶ月ぐらい先で良いでしょう。また、事業計画なら、1年後かもしれません。一年後の場合は、途中に「中間振り返り」を入れるようにします。
つまり、取り組む内容に応じて、振り返り期間を変化させます。
(3) リマインダーをセットする
カレンダーアプリに、予定として書き込むか、ToDoアプリに日付を入れて振り返り日を登録します。あるいは、Notionを使っている人であれば、Notionのリマインド機能を使えば良いでしょう。
そうすれば、あとは忘れてOKです。
その日になったら「ピコーン」と通知がやってきて、振り返りを実行します。振り返り日は、ランダムにやってきます。
ランダム性は、習慣化に大きく貢献することがわかっています。ランダムに発生した振り返りを実行することで、学び気づきが、予想外に起こって楽しくなります。
上記のような方法をランチャレで採用できなかったのは「一緒に」が前提だったためです。一緒にやることも、良い取り組みなのですが、フィードバック分析に関しては、一緒に行うのは難しかったのが現状です。
こればっかりは、自分で試してもらうことが大切です。試してみたら、絶対に大きな発見につながります。
日記習慣をつける
ところで、1月、3ヶ月、半年、1年、3年などの振り返りも、非常に有効です。しかし、これを習慣化するのは、ほぼ不可能です。
なぜなら、1ヶ月の振り返りですら、期間が空きすぎて、習慣化させるには、何年もかかるでしょう。しかも、フィードバック分析の場合、「成長」を期待しているので、1ヶ月で結果が出なければ、やめてしまいたくなります。
そこで、おすすめの方法は、シンプルに「日記(ジャーナリング)」です。
毎日つけられなくても良いので、週に3回程度、気軽につけられるように習慣化します。習慣化のポイントは繰り返しだけでなく、「報酬」にあります。
できれば、内的報酬を設計できれば、簡単に習慣化します。
具体的には、「日記を書いているだけで、もう楽しい、嬉しい」という状態になることを目指します。
「書くこと自体から、なんらかの報酬(心が落ち着く、考えがまとまる、感情が吐き出せたなど)」が得られるような日記の付け方をすれば、すぐに習慣化することが可能です。
日記が習慣化できているなら、「仕事について」や「個人の成長について」などを記載しておけば、振り返りに活用できます。
まとめ
多くの先進的な研究によって、「性格分析」や「適性診断」の多くは、当てにならないと報告されています。信頼性が高いと言われているビッグ5(性格特性の5因子モデル)ですら、人の性格は「状況によって変わる」ことや「文化的背景による意味の違い」を考慮するべきだと言われています。
つまり「Aという状況では外交的だけが、Bという状況では内向的、Cでは外交的」など、細かい条件設定が必要になります。
さらに自己報告バイアスと呼ばれるものまで、混ざってきます。
つまり、アンケート形式での診断では「大雑把なこと」しかわかりません。あるいは、正反対の内容が出てしまいます。
自分の強み、弱み、性格、特性、欠点、知識の欠損などを「地に足をつけて知る」ためには、フィードバック分析を続けることが大切です。また、強み、弱みも成長によって変わりますし、状況によっても変わります。だからこそ、継続して「フィードバック分析」をすることが大切です。
このフィードバック分析を行う方法は、ドラッカーが提唱した方法を踏襲するのが一番です。
新しいことを始めたら、即記入する
プロジェクトごとに、振り返り期間を設定する
リマインダーで忘れても大丈夫な状態にする
振り返り日が来たら、とにかく振り返ろう!
そして、できたら日記の習慣も作って、定期的な振り返りをすると良いでしょう。
以上が、私が学んだことです。
来年は、この方法で取り組んでいきたいと思います。