子供が「ITバリバリ(笑)」になるように、育てるには、以下の3つが大切です。
マニュアル教育を受ける前に、探求型のアプローチを教える(かなり重要)
ラーニング・ファシリテーションする
ゲームや子供用アプリではなく、実用的なアプリを触らせる
です。以下、詳しく説明します。
マニュアル教育とは?
ここでのマニュアル教育が指すものは、とてもシンプルです。
問題を解く前に、解き方を教え、練習させる
正しい答えに辿り着く、正しい手順があると教える
やり方を盲目的に覚えさせるための訓練を繰り返す
疑問を持たせない
などです。
多くのデジタル教育は「ここを押して、次に、あそこを押すと、こうなります」と教えます。この調子で、いろんな機能を「こうやったらできる」と方法を教えます。
このような教え方は、プログラミングの世界でも、行われています。プログラミング教育では、穴埋めクイズが使われ、盲目的に文法を覚えさせ、それが埋められれば卒業証書を出すようなこともされています。
これでは、教えられていないことを、勝手に学ぶ人材は、育ちません。
プログラマー、開発者、エンジニアにとって、最も必要な能力は「教えられていないこと = 最新の技術や、考え方、誰も作ったことがないものを、自分で学び、答えを出すこと」です。
このことは、デジタル全般にも言えます。
パソコンのアプリは、バージョンアップで見た目が変わることがあります。機能が次々と増えたりもします。さらには、イノベーションによって、別ジャンルの便利なアプリが出てきたりもします。
また、会社で経費削減や、活用を促すために、全社的に別のアプリに移行するなども行われます。
このような変化が起こる世界においては、マニュアル教育で「やり方を覚える」アプローチでは、追いつかないどころか、置き去りになります。
そこで重要になるのが「マニュアル教育ではなく、探求型のアプローチ」を採用することです。
入り口が大切です
マニュアル型の教育とは、違うアプローチが「探求型」です。探求型の教え方、アプローチは、「人本来の学習メカニズムに沿っている」ものなので、小学生低学年でも、実践できます。
我が子たちは、ITが得意です。僕も知らない機能を使えるようになって、驚かしてくれます。つまり、私は教えていません。最初の入り口に注意を払って、慎重にアプローチしたから、勝手に学べるようになりました。
できれば、学校教育で「マニュアル型」を押し付けられる前に、探求型を体験させてあげることが必要です。さらに、授業でマニュアル型で教えられても、それを無視して、探求型を続けるように、励ましてあげることが大切です。
幸いにも、学校の先生の多くはITが苦手なので、探求型の子供達の学習内容のレベルが高く見えてくれるので、口を出さないようになってくれます。一方で、算数などの場合は、進捗が遅く見えてしまい、口を出してきます(心配して、アドバイスしてくる)ので、ちょっと大変です。
とにかく、重要なことは、子供達が「探求型が普通の学習方法だ」「こっちの方がいいんだ」と安心させることです。
探求型のアプローチとは?
私の娘は、今年小学校3年生になりました。来年は4年生になり、学童保育もなくなります。すると、学校から帰ったら外出するでしょうし、自分で図書館に行ったりもするようになります。
親としては、なるべく自由に行動させてあげたいですが、心配もあります。そこで、携帯電話(iPhone)を持たせる予定です。
その予行演習として、古くなった(最新のOSにアップデートできない)iPhoneを渡しました。私や、祖母、兄が連絡を取り合ったり、写真をとって楽しんでいるのを見て、興味があったようです。
すごく喜んでいました。
喜ぶ娘に、初めて使い方を教える時、探求型を意識しました。
必要なセットアップを行なった後、メッセージの送り方を教えました。どのような感じで教えるかというと、ちょっとした質問で行いました。
「ここにある絵をクリックすると、いろんな道具が使えるよ。アプリというよ。じゃあ、メッセージを送りたいんだけど、どれだと思う?」
娘に推測をさせるような言い方です。娘は、私たちが使っている様子を見ていたので、「これかな?」と推測したので、私は「お、そうか。確かめてみてよ。適当に触ってみたら?」と伝えました。すると、タップしたら画面が切り替わります。
メッセージアプリには、家族を登録してあるので、家族のアイコンが並んでいます。
「じゃあ、パパにメッセージを送るには、どうする?」
と質問し、自分で推測させます。困っていそうなら、「適当に押してみたら?」と促せば良いです。こうやって、あちこち触ると、私の顔アイコンで、私にメッセージが送れる状態になるのがわかります。
また、メッセージを送るときは、どうするか?も推測させます。もちろん、ここをタップして、入れてもいいよと教えてしまっても良いです。適度に、やり方と、探求を混ぜてあげることがポイントです。
実は、iPhoneのメッセージは、アニメーションをつけたり、背景に風船を飛ばしたり、メッセージを隠したりできて、面白いです。娘とやりとりするときに、私が、「大量の風船が、飛ぶ背景」で送ったら、驚いて「どうやるの?」って聞いてきます。
そこで、「メッセージを送るボタンを長押ししてみて。そこから実験したら、いろんなことができるよ」と伝えます。
すると、実験が始まります。いろんな機能を試して、あれこれやと送ってきます。その度に、私は驚いて見せて、反応します。私も、変わった装飾や、アニメーションで応酬します。
その度に、「それどうやるの?」って聞いてくるので、「ヒントを与えて、自分で探させる」ようにします。このように「遊び」として「探求」を自分でさせるようにします。
これが「探求型のアプローチ」です。
ラーニング・ファシリテーションとは?
しばらく遊んだと、「その調子で、色々実験してね。他にも、いろんな送り方ができると思うから」と伝えます。この一言で
自分で実験して、あれこれ探求するのが良いのだよ
と刷り込んでいるわけです。
その後、娘は面白い送り方を発見すると、僕にメッセージを送ってきます。その度に、反応してあげるようにしました。娘が知らなそうな機能で返したら、「それどうやるの?」って聞いてきますが、ヒントだけ与えて(なるべく抽象度の高い状態で)、自分で探させました。
しばらくすると、私が知らない機能を使ってメッセージを送信してきます。
このとき、私は「チャンス!」と思います。娘に、「これって、どうやって見つけたの?」と心から質問します。すると娘は得意げに「ここを、こうやって、こうしたんだよ」と教えてくれるので、「へー、なるほどなー。それって、どうやって見つけたの?」「どう思って、それだと思ったの?」など、探求のプロセスに目をむけるような質問をします。
このように
探求したプロセスに注意を向けさせ
その探求の様子を奨励(いいね!など褒める)
することで、益々、探求するようになって行きます。そして、これが「自然なことだ」となります。
ゲームや子供用アプリではなく、実用アプリを渡す
小学校や、中学校は、なぜか「専用のアプリ」を用意し、子供達に使わせます。決して使いやすくはない、でも、「子供なら、こっちの方がいいでしょ」と言わんばかりのビジュアル化されたアプリで、課題提出などをさせます。
あるいは、ゲームのように見せかけた、アプリを用意して教育しようとします。
これらは、無駄なコストですし、将来にも役立ちません。また、子供達の興味をそそりもしない上に、使いづらいです。
子供達は、大人が使っているものに興味があります。大人が使うプレゼンアプリや、デザインアプリを使わせれば良いです。個人的には、クリエイティビティが発揮しづらいMicrosoft や、Googleのオフィスアプリよりは、デザイン寄りのアプリが良いと思っています。
とにかく、彼らには「大人が使うものと同じアプリ」で、遊ばせるべきです。
我が家では、iPadや、Macの「Keynote」というプレゼンアプリを渡して、それで遊ばせました。自分で撮影してきた写真を貼り付け、文字を入れ、ペンで書き込み、スライドアニメーションなどを使って、ちょっとした動画を作って、遊ばせました。
Keynoteで、すごいアニメーションが作れて、子供達は、得意満面です。
デジタルで探求型を知り、他の教科にも波及させる
デジタル教育は、学校では優先度が低いです。やはり、国語・算数・理科・社会・英語の5教科が中心でしょう。先生や学校も、生徒に熱心に口出ししたり、指導しようとはしません。そのおかげで、どのように学ぼうが自由になりやすいです。
このデジタルを通じて
探求して、自分で仮説を立てて学ぶ
教えられていないことを勝手に学ぶ
学び方を工夫して、もっと上手に学ぶ
という学習体験をさせていき、学校で教えられる(あるいは、暗黙の前提とされる)学び方だけではないと知らせることを大切にしています。
我が子の場合、長男は私と似た性格を持っているのか、学校の授業や、先生の教え方を盲目的に従うのではなく、自分なりに工夫して学習しています。最近だと、興味関心のある航空機と、経営が重なるサウスウェスト航空の創業者ハーブ・ケレハーの自伝書の英語版を取り寄せ、それと日本語訳を比較して読んで、英語を学んでいるようです。
一方で、妹(長女)は、学校の先生の言う通りにしなければならない!という気持ちが強いようです。おそらく、先生がちょっと高圧的なので、その影響もあるかと思います。
娘に、もっと違う学び方、やり方があるから、試してみたら?とアドバイスするのですが、なかなか聞いてくれません。先生が言っている方法と違うと拒否されます。
でも、デジタルでの成功体験がきっかけで、学び方をもっと柔軟にしても良いと思い始めているようです。
このように「デジタルで探求型」を導入し、その他の教科にも影響を波及させていくことが可能ですし、やるべきです。
デジタル機器選びについて
子供達にデジタル機器を与える際は、最新の高価な機種である必要はありませんが、できれば、直感的に使えて、仮説を立てやすく、探求が楽しいものを選ぶべきです。
具体的には、Apple 製品をお勧めします。
パソコンを与えるよりも、iPadを与えて、一緒に探求した方が良いでしょう。パソコンだと、ログインでつまづいて嫌いになります(笑)。その後も、動作が遅かったり、何が起こっているかわかりづらいです。そして、ブラウザを開くと、気が散るニュースがたくさん表示されて、最悪です。
我が家では、iPhone、iPad、Mac にしています。私が、Apple が好きという理由だけではなく、UI/UX、学習の幅を考えると、この選択肢になります。
以上、参考になれば幸いです。