Appleという会社は、信じられないことをやってのけます。それらは、以下のような特徴があります。
多くの人が「不要」といったものを普及させる
後から出したのに、圧倒的に普及させる
みんなが欲しいものを生み出すAppleという会社
今でも、はっきり覚えています。iPhoneが登場した時、ほとんどの人が否定的な反応を示しました。
「バッテリーが1日も持たない携帯電話なんて不要」
「画面のキーボードなんて打てない。物理キーボードがないなんてダメだ」(ブラックベリーなど)
「あんな小さな画面でWebサイトなんて見れない」
など、散々な評価でした。
しかし、気づけば、あらゆる企業が、iPhone を追いかけ、スマートフォンと呼ばれるものになりました。
ちなみに、タブレットに関しては、iPadの一人勝ちのように思います。Androidタブレットは撤退が噂されていますし、Chrome OSと統合するとも言われています。デスクトップOSと同じものを乗せてしまうと、Windowsのタブレットのような使いづらさが出てくること、間違いなしです。
時計をつけない人にも、時計を持たせた革新的デバイス Apple Watch
Apple Watchは文句なく、とんでもないプロダクトでした。スマートウォッチをAppleが出すらしいという噂がApple Watch発表の2年ほど前に出回り、さまざまな企業が我先に、スマートウォッチをリリースしました。そして、2年以上の沈黙の末、Apple Watchが登場し、毎年、着実にアップデートを重ねました。
その結果、時計をつけなかった人たちに(私も、そのひとり)、時計をつけさせ、ファッション&機能として購入する人を生み出し、時計市場を奪うのではなく、拡大させました(とはいえ、そのほとんどは、Apple Watchユーザー)。
我が家では、私、妻、母もApple Watchユーザーです。使い始めると、もう便利すぎてやめられません。睡眠トラッキングや、通知、アクティビティ情報、天気予報など、腕でアクセスできることが、これほど便利だとは思いませんでした。
特に支払いが便利すぎです。電車に乗るとき、コンビニで支払うとき、ロードバイクで走った後、自動販売機でドリンクを買うとき、財布もiPhone出さずに、さっと購入できます。
AirPods も病みつきです
同様に、AirPods は、恐ろしいほど売れて、ワイヤレスイヤホンを「当たり前」にしました。
妻にAirPods Proをプレゼントした時、「もったいない、使わないと思う」なんて言ってましたが、今では「一番のお気に入りかも」と言っています。
AirPods Proは、ノイズキャンセルできるし、複数のiPhone、パソコンを簡単に切り替えて通話できます。仕事のiPhone、プライベートのiPhoneを両方、スムーズに使えて、重宝しているそうです。
今後期待できる「空間コンピューティング」
今後期待される当たり前は、「空間コンピューティング(Apple Vision Pro)」でしょう。あと2年ぐらいかけて、ゆっくりと洗練させ、大型ディスプレイを買うか、Vision Proを買うか悩む価格帯にしてくれるかもしれません。
どうなるかは、あと2年ぐらい経たないとわからないでしょう。
iPhone 16eで、AIの本格普及が決まった
Appleの熱狂的なファン以外は、iPhone 16e のリリースなんて興味がないでしょう。私も、廉価版iPhoneには興味はありませんでした。しかし、その中身を聞いて、AIの本格普及を予感しました。
やっと本題です。前置きが長くてすみません。
今回発表されたiPhoneは、いわゆる廉価版と呼ばれるものです。
iPhone 16 Pro (プロ向け、高級ライン)
iPhone 16 (無印) (一般向け)
iPhone 16e (廉価版)
廉価版と言っても、円安の影響もあり、99,800円と、ほぼ10万円からです。以前の廉価版は、49,800円だったと思うので、ほぼ2倍です。どこが廉価版なんだよ!って思うかもしれません。
iPhone 16e は、タッチIDが廃止され、画面がデバイス全体に広がりました。いわゆるベゼルレスデザインになり、一気に洗練されました。
しかし、一番大きいのは「廉価版iPhoneも、Apple Intelligenceに対応」ということです。
今後のiPhoneは、全機種「AI搭載」。AIは、当たり前についてくる
当たり前ですが、来年、iPhone17 Pro、iPhone17、iPhone17e が登場したら、その全てが「AI搭載」になります。現在、iPhone15ProもApple Intelligence (AI)搭載です。
つまり、あと2、3年で、買い替えが進む中、ほとんどのユーザーのiPhoneが「AI搭載」となります。結果、AI当たり前になります。買ったら、自動でついてくるという世界です。
しかも、このAIが「Apple Intelligence」であることに、意味があります。
アプリ開発者が、積極的にAIを組み込んでくれる可能性が高い
開発者視点から見ると、自分(自社)が開発するアプリに「AIを導入したい!」と思った時、2つの選択肢があります。
(a) アプリの裏側で、ChatGPTや、Claude、Gemini などとやり取りして、高度なAI機能を提供する(費用がかかるし、その費用の見積もりが難しい)
(b) Apple Intelligence に対応する、Apple IntelligenceのAI機能を統合する(AI利用料金を気にする必要がない)
Apple Intelligenceを使えば、Siriから操作してもらいやすくなるし、リライト、概要作り、音声文字起こしなどを、自分のアプリに気軽に組み込めます。
AIを組み込む際、自分でOpenAIなどに契約する必要はなく、iPhoneのAIツールを利用するように作成するだけでOKです。
この仕組みによって、無料アプリですら、AIを搭載することになります。あるいは買取型のアプリもAI対応してもらえます。結果として、あらゆるアプリがAIを「プチ利用」する機能を提供することにつながっていきます。
今後、AI連携は強まる一方でしょう。Siriを通じて複数のアプリを跨いで操作して結果をもらえる可能性すらあります。
また、開発者側からすると、Apple Intelligenceを利用できる端末が多いなら、作る気が湧きますし、ライバルが対応していたら、対応せざるを得ません。
これから、急速にiPhone、iPad、MacのアプリがAI対応になっていくこと間違いなしです。
DeepSeekショックすら、追い風
DeepSeekは、AIの小型化の可能性を証明して見せました。圧倒的に小さなものでも、高い性能を発揮できることがわかったことで、大規模化を突き進むOpenAIや、そこに関わるNvidiaの株価に影響を与えました。
今後は、小型のAI分野でも、たくさんの競争と、技術革新が見られるでしょう。
この苛烈な競争にAppleは参加してませんが、その恩恵をバッチリ受け取れる場所にいます。高性能な小型AIの作り方がわかれば、それをApple IntelligenceのオンデバイスAIに応用すれば良いだけです。
これまでは、クラウド上のChatGPTに繋ぐ必要のある処理を、オンデバイスでやり遂げつつ、さらに「賢い(推論など)」処理すら、オンデバイスでやれるようになります。
Apple Intelligenceユーザーから見れば、「無料で高性能AIを使い放題」になることを意味しています。
そうなれば、もっと気軽に使いかもしれません。
AIの普及は「既に起こった未来」になった
今回のiPhone 16e は、AIの本格普及の開始合図となる可能性が高いです。
「聞いたことはあるけど、使ったことはない」
「試してみたけど、使い道が分からずやめた」
「アカウント作成で、こけた」
「有料課金して使うほどでもないので、使わなかった」
という人々がほとんどです。
私の70代の母も、ChatGPTには縁がありません。今後もアカウント登録することも想像が付きません。私の同級生を想像してみたとき、ChatGPTアカウントを作らなそうな人が何人も思い浮かびます。
しかし、Apple Intelligenceになれば、メールを送るときに、伝えたいことを音声でなんとなく喋って、リライトして読みやすくして、送信を簡単にできる、しかも無料、登録不要、難しい操作もないとなれば、使うでしょう。
これが、既に起こった未来です。
未来の象徴であり「我が子たち」には、Apple製品を使わせます
我が子が通う公立学校は、残念ながら、Windowsのタブレットです。重たく、使いづらく、カメラ性能が極端に低いタブレットで、授業でもほぼ使っていません。
それを学校に持って行ったり、持って帰ったりします。ほぼ、足腰を鍛えるための錘(おもり)です。トレーニング機器かな?と思っています。
そもそも、小学校1年生に、英数半角記号を混ぜたパスワードなんて覚えさせられません(iPadならタッチIDなのに・・・)。結果、娘は、ログインに何度も失敗し、パソコンが嫌いになっています。
そんなときデジタルデバイスの面白さを体験してもらうために、古いiPhoneを使えるようにして渡したら、喜んで使っています。写真を撮ったり、メールで遊んだりしています。祖母に工作したものを送って、フィードバックをもらったり、手芸の相談をしたりしています。
この調子で、もっとデジタルをおもちゃとして遊んで欲しいと思っています。そして、AIも便利な道具の1つとして使うことに慣れて欲しいと思っています。
iPhone 16eの発表は、ますます、「我が子には、Apple製品を買おう」と決めていた決心を、さらに固めるものとなりました。おそらく、Siriに複雑なプロンプトを入れても、ある程度オンデバイスで対応してくれるでしょう。また、子供が使っても大丈夫なように安全性にも配慮してくれていると思います。
以上、なんとなく感じたことをつらつら書きました。今後も、あれこれコラムを書きたいと思います。
楽しんでいただければ、幸いです。
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