マネジメントとは何か?その目的から定義する
「マネジメントの父」と称されるP.F.ドラッカーの視点(特に正統性)に焦点を当て、マネジメントの目的を探求しています。その結論を知って、ビジネス書を読むと新しい発見があるでしょう
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前回、目的論、目的律の話をしました。様々な物事を「目的」という側面から理解することは、とても有効な思考方法であり、視点です。
今回は「マネジメント」とは何か?を理解するために、その目的から探っていきたいと思いますが、土台にするのは「マネジメントの父」であるP.F.ドラッカーです。彼の定義を丹念に、理解していくことが、とても大切だと考えています。
奇しくも、ドラッカーは多くの経営者に、以下のようなことを伝えたと言われています。
みんなが信じていることは、たいてい間違っている
おそらく、私も含め多くの人がイメージしているマネジメントは、ドラッカーが定義したマネジメントとは違います。今日は、そのことを探究し、あれこれ発見して、今日からの行動に変えていきましょう。
まずは、一般的なイメージから考えてみる
多くの世間一般、あるいは大学生などに尋ねると「マネジメント」を
指示、命令、管理、コントロール
だと思っています。あるいは、スケジュール通りに物事を進めるための「監視」と捉えていることが多いです。
例えば、WordPressなどのWebサイトやブログ記事を管理するソフトウェアのことを、「コンテンツ・マネジメント・システム」などといいます。ここではシンプルに「管理、統制、コントロール」のイメージがぴったりです。
一方で、少し調べると以下のような定義を見かけます。
経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を効率的に運用することで、組織の目標に向かって、組織を発展させること
などです。
まずは、あなたの「マネジメント」に関するイメージを、あれこれ考えてみてください。その後に、マネジメントの父である、ドラッカーの定義を考えてみましょう。
ドラッカーの目的は何か?
今回は「目的論」から、あれこれ考えています。そこで、ドラッカーについて理解するために、ドラッカーの目的を考えてみましょう。
ドラッカーの目的を詳しく知りたい方は、「ドラッカー入門 新版---未来を見通す力を手にするために」 がおすすめです。
ドラッカーと親交が深かった上田惇生先生の言葉を読み解けば、
ドラッカーは人に興味があった(ビジネスではなく)。人が幸福になれる社会の実現を見たいと思っていた。そのために何が必要か考え抜いていた。その結果、急速に組織社会になっていく中で、組織について誰も語っていなかった。そこで、マネジメントを書いた
ということを言っています。
つまり、彼の目的は「人が幸せになれる社会、そのための組織はどうあるべきか?」の答えを探すことです。
逆にいえば、 「企業が永続的に成長し、莫大な利益をもたらし、ナンバーワンになる方法を見つける」 などではないということです。
多くのビジネス書は、大なり小なり「どうすれば、売上が上げられるか?」あるいは、その言葉をマイルドに「どうすれば、もっと成果を出せるのか?」を目的としています。そして、成果を「そこで働く人や、関わる人の幸福を最大化すること」とは思っておらず、それも「手段」として、最終的には「売上、利潤、利益」の最大化であることがほとんどです。
なんだかんだ言いながら、経営の目的は、結局のところ「経済面」に置いていることが、ほとんどです。
しかし、ドラッカーは「利潤動機なるものは存在しない」と断言し、経済面は「条件」であって、目的は別だと断言しています。
まとめると、ドラッカーの目的は「経済面における企業の成功」ではなく、あくまでも「人間中心」「一人ひとりの個人が中心」であるというところで、決定的に違います。
「目的 = 視点」が違えば、世界は全く別のものに見える
ちなみに、ドラッカーは「目的律」という言葉を著書で使っています。物理学などの世界では、「因果律」と言って、原因があって結果が出ます。ここについて、どの物理学者であっても、同じ原因から同じ結果をだします。もし、違う結果が出るなら、どちらかの理論が間違っているか、両方が間違っています。
一方で、目的律は「目的」によって、あらゆるものの存在意味が変わり、別の世界に住んでいるような状態になります。
繰り返しになりますが、マネジメントを理解する上で「目的が違う」ことを理解する必要があります。マネジメントの父であるドラッカーの目的は「経済面」ではないということです。
多くの人が信じている(あるいは、気にもしておらず、自覚すらしていない)、マネジメントの目的は、経済面だということの出発点からして違います。
では、その目的は何と言えるか?その答えは、古典的名著のマネジメント全3巻の最後の結論部分にあると、私は考えています。
マネジメントの正統性が「目的」を示している
非常に長い「マネジメント」という著書は、日本語では3冊に分かれています。そして、3冊目の最後に「結論」がありますが、そのタイトルが
「結論 : マネジメントの正統性」
です。
私は、初めてマネジメントを読んだ時、結論において、正統性について論じていることに、すごく興味を惹かれました。論文や、書籍では「結論」は、全体を総括し、主張のまとめ、正しさの裏付けなどを行うところです。あるいは、それらを踏まえて、「読者に行動を促す場所」です。
その結論部分で、あえて「正統性」を問いただすなど、「どういうこと?」と、心底興味を持ちました。
もし、マネジメントの書籍をお持ちであれば、今一度、「結論部分」を読み直してみてください。
かなり刺激的です。
なぜ、正統性を議論するのか?
ドラッカーは、日本で言うと明治末期に生まれた人です。生まれた場所は、ウィーンで「オーストリア・ハンガリー帝国」の時代に生まれました。現代とは全く違う環境です。
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