KAMEDEMYは、「学ぶこと自体を楽しむ人」を増やすことがミッションです。学ぶことを楽しむためのツールとして、「習慣化」という技術は、最も重要なものの1つです。
今日の記事では、「なぜ、習慣化が、学ぶことを楽しくするのか?」を、一緒に考えてみたいと思います。
まずは、「学ぶことが、楽しくなくなる原因」や「学習をやめてしまう原因」から考えてみます。
生まれつき持っている「諦める」機能
私たち人間は、無駄なことをしないように、生まれつき「学ぶことを諦める」ための仕組みを持っています。この仕組みがないと、見込みがないことに時間を注ぎ込んだり、取り返しのつかない失敗をする可能性があります。
おそらく、進化の過程で手に入れた「仕組み」です。
その仕組みとは、 「自分が期待した成長スピードよりも、実感している成長スピードが遅い」 場合、私たちは、努力や学ぶことを諦めます。正確には、「諦めたい」という感情が発生します。
この仕組みの重要なポイントは、 期待していた結果が得られない ことではなく、「期待していた成長スピードよりも、遅い」という点です。期待していた結果になかなか到着しなくても、私たちは、学ぶことを諦めたりしません。もうやめてしまおうと思うことも少ないです。
しかし、「成長スピードが期待を下回っている」と、諦めようとします。
ここが鍵です。
諦めないために、実現すべきこと
諦めず、学び続けるには、どうしたら良いでしょうか?実現すべきことは、超シンプルです。
期待する成長スピード < 実感している成長スピード
この式が成り立つ状態を作り続けることです。
そのために必要なことは、
期待する成長スピードを低く抑える
実感している成長スピードを高くする
このどちらか、あるいは両方をして、上記の式を満たす状況を作ることです。ちなみに、このように原点や原理に立ち返って、やるべきシンプルなことを考えることを「ファーストプリンシプル(第一原理)シンキング」と言います。
とにかく「期待する成長スピードよりも、実感している成長スピードのほうが早い」状況を作ることで、私たちは、諦めず、学び続けられます。そして「楽しい」という実感も得られます。
期待する成長スピードが「高くなる原因」とは?
まずは、期待する成長スピードから考えてみましょう。
あなたは、何かを学び始めた時「期待する成長スピード」を、意識的に決めたり、推測したことはありますか?おそらく、無意識、無自覚に決めていると思います。
例えば、「たった7日間で、ネイティブの発音」 というノウハウ本を手に取ったら、どんなことが起こるでしょうか?
当然ながら「7日間で、ネイティブの発音に達する成長スピード」を期待します。この計算は、自動的に行われます。そして、ほとんどの人は、1日目から挫折します。LとRの聞き分け訓練を3回ほどしたときに、
「あれ、全然聞き分けられない。違いがわからない。もう3回も聞いたのに、一向に成長しない。このままでは、到底到達しない・・・」
と、無自覚に計算をして、「楽しくない」「しんどい」「嫌な気分になった」という感情が湧き起こり、諦めよう、途中でやめてしまおうと考え始めます。
上記の例が示唆するように、 「努力不要、最短、今すぐ、結果が得られる」と謳うメソッドを手にした時から、学習に挫折する確率を大きく挙げていることになります。これらのメソッドを手にすると、自動的に「期待する成長スピードが大幅に高くなる」ため、すぐに学習を諦めたくなる感情が生まれます。
たとえ、ノウハウが一定の効果を持っていたとしても、結局、実行されずじまいになり、ノウハウコレクターを作ってしまいます。
大袈裟に言えば、現代のマーケティングによって、われわれの学ぶ力が削がれていると言えます。
「ゴールをイメージする系」も、注意して使うべき
もし、あなたが自己啓発系の書籍などを読んだことがあるなら、以下のようなメソッドをご存知だと思います。目標を達成する、願望を現実にする、夢を叶える、引き寄せるなど、いろんな言い方がされていますが、やることは、おおかた以下の通りです。
ゴール(目標、目的)を達成した時の様子をイメージする
視覚だけでなく、五感を使ってイメージの中で体験する
イメージを想起しやすいように、言葉にして、それを毎日読む
上記のような行動によって、夢が叶ったり、現実が引き寄せられる理由は、流派によっていろいろです。周波数を使って説明する流派もありますが、アインシュタインが理論的に説明したブラウン運動(原子レベルの振動現象)と、脳波の周波数は、桁が全然違います。さらに、物理学の世界で示されている4つの力(引き寄せる)を使っては説明できません。
何かを実現するには、「行動」と「学習」が必ず必要です。しかも、ゴールが大きければ、大きいほど、継続的な努力が必要 です。
これだけは、誰もが同意できるものです。
長く行動、学習、成長をし続けるには、「期待する成長スピード < 実感している成長スピード」という状況を作ることが必要です。ゴールのイメージが、この条件を促進してくれるなら良いでしょう。逆に、ゴールのイメージが、この条件を壊すようなら、やめるべきです。
例えば、「私は、誠実な人間です。・・・という状況でも、・・・・という態度、姿勢を貫きます。不条理な要求は飲まないが、誠意は尽くし続けます」みたいな文章(アファメーション)であれば、問題はないでしょう。
なぜなら「こうありたい」という存在状態に対して、少しでも近づこう!と思って、日々生きていたら、小さな前進、努力を実感でき、喜びを感じます。
一方で、物質的、外部的な報酬をイメージしているなら、「それを、手っ取り早く欲しい」「今すぐ欲しい」という気持ちが浮かび、それに達していないので、学習を諦めます。
でも、諦めきれないから、別の成功ノウハウを探したりします。
習慣化を取り入れると、どんな前提が生まれるのか?
「習慣を作って、目的に到達しよう」と考える場合、自動的に「長期的な戦略」を考えることになります。習慣は、特定の状況下で繰り返し行動を行った結果、その行動(思考、姿勢など)が当たり前になることです。
当然、長期的に取り組むことが前提です。
「7日間でダイエット!」ではなく、「適切な栄養バランスと、適切なカロリーと、適切な運動」を習慣として身につけようと思えば、長期的な取り組みを前提にします。その結果、期待する成長スピードは、ゆっくりになるはずです。
さらに、習慣化メソッドを試す、学ぶ、チャレンジするという視点で、取り組めば、いろんな発見、学び、気づきがあります。それらを面白がっていると、「前進している気持ち」になり、「成長が実感できて、継続する意欲」が生まれます。
例えば、「まずは、食事アプリでカロリー&栄養バランスの計測」だけを習慣にしよう!と決めます。減らしたり、バランスをよくするのではなく、とにかく「記録するだけ」を習慣にすることを考えます。
そのために、「アプリの置き場を工夫」したり、アプリの操作手順を工夫したり、入力のステップを簡単にしたり・・・などを工夫することですら、成長している!って思えます。
実際に取り組んでみたらわかりますが「記録して見ていたら、減らしたくなってくる」自分がいることに気付きます。そして、無理なく減らしてみたら、目標とするカロリーを達成して、「わお!やったー!」とサプライズ報酬を得られます。これがあると、ますます習慣化が行いやすくなります。
そうこうしていると、1ヶ月ぐらい経ってきて、体重が減り始めるようになります。すると、体が軽く感じ始めたりして、運動をする気がわいたりします。そのような変化も感じるようにすれば、ますます「学ぶ意欲、継続する意欲」が高まります。
習慣化メソッドは、毎日が学びと発見になり、長期的にインパクトをもたらす
習慣化メソッドは、地に足がついたアプローチです。千里の道も一歩からというように、着実に前に進めます。
やるべきことは、以下の通りです。
遠い目標を定める
そこに到達するための「習慣」を定める
習慣を分解して、小さなシンプルな行動を選ぶ
選んだ行動を習慣化させるアイデアをだし、実験し、探究する(これだけで、楽しめる)
習慣化できたら、この習慣をさらにグレードアップする
継続し続ける
これによって、人生は大きく変わる!と思います。