私は、ChatGPTや、Claude.ai、Perplexity という人工知能(AI)を、仕事にフル活用しています。
本当に便利です。
また、我が子にも、「メタ認知(自分のことを客観視できる能力)」が育ってきたら、積極的に使わせようと思っています。
生成AIは、人類の前進に大きく貢献するテクノロジーです。
一方で、AIを活用していくには、私たちは「浅い学び」ではなく「深い学び」を心がける必要があります。つまり、意識して「本質」と呼ばれる領域を学ぶことが必要です。
その理由について、一緒に考えたいと思います。
本質の特徴
本質とは何か?
私が大学で教鞭を取っていたとき、最初の授業では、「本質とは何か?」を学生に説明し、本質に注意を向けるように伝えていました。
私なりの本質の定義は、以下です。
「本質とは、それ以上削ると、そのものではなくなる最小単位」
この定義については、別の記事で深く議論したいと思いますが、以下のように考えてください。
「和食の本質」とは、和食を支える様々な要素がある中で、これを抜いてしまったら、もう和食じゃなくなる!という重要な要素だけを残し、他を削ぎ落としたものとなります。
私は、和食に詳しくないので、私なりの本質をお伝えできませんが、もし、あなたが和食に精通しているなら、「最小単位」や「最小構成」を考えてみると、気づきや洞察が得られると思います。
本質は、複数存在する
なお、本質は「様々な残し方」が存在します。また、1つの答えに収束するわけでもありません。大切なのは、「できるだけ削って、減らして、これ以上は減らせない」と思考することです。
別の言い方をすれば「シンプル化するプロセス」によって、いろんな形を作り出すことと言っても良いです。
ここでのシンプルとは、「これ以上何かを取り除いたら、もう、それではなくなるまで減らした = シンプル = 本質」です。根本という表現や、本来という表現で置き換えても良いでしょう。
和食の本質を取り出す場合、他国の料理との比較の場合や、家庭料理の文脈の場合で、取り出し方が変わることもあるでしょう。
それでOKです。
重要なことは、本質は1つではなく、多数の取り出し方があるということです。そして、それぞれが「これ以上減らせない(かも)」ぐらいに、削っておくことです。
では、この本質には、どのような特徴があるのでしょうか?
本質は、廃れづらい
本質は、これ以上減らせないぐらい、削ぎ落としています。これを理解しておけば、多くのものが「バリエーション(肉付けしたもの)」に見えます。
例えば、コーヒードリップの本質を理解していれば、コーヒー豆、焙煎度、好みに応じて、自由に入れ方を工夫することができます。
私なりの理解では、コーヒードリップでの本質は「コーヒー豆から、成分が抽出される物理現象のメンタルモデルを持つこと」です。
(なんのこっちゃ?と思うかもしれませんが、いつかコーヒードリップ講座をしますので、そこで本質の話もしたいなと思います)
コーヒーの本質がわかっていれば、ドリップするだけでなく、フレンチプレスで入れる時も、美味しく入れられるでしょう。また、コーヒーマシンを使うときでも、美味しくいれる工夫ができるはずです。
つまり、本質を学び、体得しておけば、「応用が効く」ということです。逆に言えば、多くを覚えておく必要がなくなります。必要な時に、パッと考え、応用すれば良いのです。
本質 x 生成AI
生成AIは、非常に高い言語力があるように見えるテクノロジーです。その本質は、膨大な文書を、高次元で整理し、それらを使って「続きを書く」ことです。高次元化すると、物事は「意味」や「意図」が発生します。なぜ?は答えられませんが、物事の基本的な構造です。
おそらくは、人間が「一定の複雑なものを包含するもの」を意図、目的とラベル付けしているのだと思います。
なんにせよ、生成AIは「あなたがインプットしたものの続きを書く」という特性があります。なお、ここでの続きを書くは、高次元での続きを書くことを指します。言い換えれば、高次元の続きを書くことは、「意図や、目的に沿って、続きを書く」ことになり、あたかも指示に従ってくれているように見えます。
このような生成AIを使う場合、使い手の「本質の理解度」が、生成AIの出力の違いを生みます。
生成AIは「並」です
ChatGPTで、「ChatGPTのオンラインコースを作成しました。内容は・・・・です。特徴は・・・です。販売のための文章を書いてください」と依頼すると、ざっと書いてくれます。
普通の人が見れば、「自分では書けないレベルのものが出来上がった!」と喜ぶかもしれません。
しかし、コピーライターや、プロモーションに長けた人が見ると、「なんじゃこりゃ。普通、面白くない。これじゃ、そんなに売れないな」と感じるかもしれません。
なぜ、過大評価されるのか?
生成AI系を説明するYouTuberや、最新テクノロジーを紹介する著名人は、興奮気味に「シンギュラリティーがくる」や「人間の仕事がなくなる」や、劇的!など過大評価します。
彼らが過大評価する理由は、「生成AIに注目を集めさせるため」でしょう。それにより、動画の再生数が増えたり、コンサル依頼が舞い込むことになります。ですので、ある程度、割り引いて受け止める必要があります。
一方で、普通の人でも、生成AIへの過度な期待を持つことがあります。
その原因は、自分の専門外についてAIが見せるパフォーマンスを正しく評価できず、「すごい!」と思ってしまうことです。
例えば、私が「プライバシーポリシーの文章を作って」と依頼すれば、すごいスピードで、それっぽい文章を書いてくれます。法律に無知な私が見れば、「すごい!」と思ってしまいます。しかし、弁護士が見たら、「並」だったり「普通」だと思います。むしろ、穴があるかもしれません。
まとめると、生成AIが、出力する内容は、得てして「並」です。プロンプトを工夫することで、少しは改善しますが、それでも「並」に毛が生えた程度です。
生成AIが化けるのは「独自の知識」を足すとき
ところが、この生成AIに「独自の知識」を追加してあげるだけで、全く違う動作をします。思わず、笑ってしまうようなことが起きます。
私は、長年キャンペーンメールを書いてきました。
たいていのキャンペーンは、「複数のメール」によって構成されます。その順番や、それぞれの中で、どのようなことを書くか?は、ある程度、体系化しています。
この知識を「生成AIが、理解しやすいように」文章でまとめておきます。さらに、生成AIに、具体事例を渡してあげます。その上で、プロンプト(指示)で、動作の方向性を与えるようにします。
ここで与える知識こそ「本質」を抜き出したものです。ダラダラと長い文章を与えても、ピンとくる動作はしてくれません。体系的に書いた文章を与えることが必要です。
独自の知識や具体例など(本質)を提供した上で、キャンペーンメールを書かせると、こちらがイメージしているようなキャンペーンメールを書いてくれます。
さらに私の場合、「アイデアの叩き台」に使うために、「大袈裟に書くように」指示をしています。そのままコピペして使うのではなく、あくまでも「アイデア」を得たり、コンセプトを確認するために使えるように調整しています。
このキャンペーン専用のAIによって、思考のエネルギーが随分減りました。
本質を理解し、あなたの言葉で、AIに入力する
つまり、生成AIをフル活用するには、
あなたが持つ専門的な知識を、AIに伝わるように文書化する
さらに、動作の方向性を決める指示を与える
使い所を定めてあげる
ということが大切です。
最近、試しているのは「ジョブ理論」分析を手伝ってくれる「オリジナルAI」を作ることです。ジョブ理論について、生成AIに尋ねても「普通のこと」しか答えません。そこで、私なりにジョブ理論について言語化し、定義を伝え、具体例を与えています。
すると、面白いぐらい良い分析をしてくれます。
同様に、「ビリーフ・ビルディング」というコンテンツマーケティングの戦略も、私なりの理解を、文書化し、ChatGPTに与えています。すると、面白いように、いい感じの文章(の叩き台)を作ってくれます。
まとめ
AIから多くを得るには、
使いたい分野の「本質」を理解すること
AIに知識、事例を追加してあげること
AIの利用方法に合わせた指示を追加すること
が、大切です。
追伸:
ChatGPTも、Claude.ai (ChatGPTみたいなもの)も、独自の知識や、指示を与えた「オリジナルな生成AI」を簡単に作れます。
ChatGPTの場合は、「カスタムGPTs」と呼ばれています。Claude(クロード)の場合は、Projects と呼ばれています。どちらも、非常に簡単に使えます。(どちらかというと、Claudeの方が使いやすいです)
これら「自分専用、用途専用のカスタマイズしたAI」の作り方、使い方のウェビナーを開催する予定です。
お楽しみに!