忙しく、変化の激しい現代社会を生きる私たちが、よりよく成長していくには、「習慣の科学」の知識を使うだけでは不十分です。
習慣化のための科学的知識からの行動だけでなく、それを「適応型」という仕組みで補強する必要があります。
習慣は、壊れやすい
習慣とは、「特定の状況下で繰り返された行動によって、その行動や姿勢が当たり前になること」です。習慣は、状況や環境などと深く結びついており、環境や状況が変化すると、簡単に壊れたりします。
例えば、片道1時間以上の通勤電車の中で、読書をすることが習慣になっている人がいたとします。電車に乗る前から本を用意して、乗車と同時に読み始める。行き帰りで2時間以上の読書時間を確保し続けているとします。
ところが、ある時、会社の方針で「リモートワークが推進」されたとします。週に1回だけの通勤になった結果、読書の時間が消えてしまいます。自宅で二時間の時間を確保しようとしても、家事を優先したり、いろんな細々した用事が発生して、読書時間を確保できなくなり、読書習慣が壊れてしまいます。
このように、良い習慣も「状況や、環境の変化」によって、あっさり壊れたりします。
例えば、ダイエットのための良い行動も、特定の条件が変わって、あっさり行動が止まってしまい、元に戻ることは多々あります。
壊れた習慣を、素早く治し続ける
重要なことは「習慣は壊れやすい」と認識し、習慣を常に微調整し続け、修復し続けることを、習慣にすることです。つまり、1つ外、1つ上、高次の習慣を身につけることです。
習慣を再構築するためには、以下を繰り返します。このループは「適応」と呼びます。
習慣行動をモニタリング(観測)する
習慣行動が壊れそうな状況になったら、新しいアイデアを考える
新しいアイデアを次々と試す中で、ピタっと合うものを見つける(あるいは創造)
この繰り返し、ループは「全く新しい習慣行動を作る時も」役立ちます。もちろん、既存の良い習慣を壊さないように、調整する時にも役立ちます。
FILMシートを使う
適応型かつ、科学の知識を利用した習慣化アプローチは、以下のような手順で実行可能です。
習慣化の仕組みやアイデアを、科学の知見から作る
上記のアイデアを「FILMシート」に書き込む
実行(1週間から、2週間ぐらい)
FILMシートを使って振り返りをする
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FILMシートとは、「メタ探求型学習」と呼んでいる状態を作りやすくするための、非常にシンプルで、強力なワークシートです。
FILMシートで行うことは、以下のとおりです。
【実行前に記入】
期待する結果 : 例) 毎日2時間の読書を習慣にする
プロセス(習慣化の仕組み、アイデア、行動) : 例) 仕事開始前と終了前を読書時間としてスケジュールに組み込む
前提・想定(なぜ、うまくいくと思っているのか?) : 例) 自宅でも同じリズムを作ればできるはず
その後、1週間か、2週間後にチェックします。内容は、以下のとおりです。
実際の結果との差分をチェック
良い点、改善点
予期せぬこと
学び・気づき・発見
もし次やるとしたら?
という観点に振り返りを行います。
これをとにかく繰り返し実行します。もちろん、FILMシートを書くだけではダメです。積極的に知識を取り入れ(例えば、何度も参考にしている本を読み直したり)、行動を変えていきます。そして、前提の間違いに気づき、変化を促していきます。
これが「適応型・習慣化アプローチ」の基本コンセプトです。
習慣化は、ブレイクスルーである
習慣化の成功は「ブレイクスルー」と言えます。なぜなら、これまでできなかった行動を自動化させるという、大きな個人の変容を実現するからです。例えば、「運動が苦手な人が毎日ジョギングする習慣を築く」といった変化は、その人の人生における重要なブレイクスルーとなります。
運動習慣が身についただけでなく、
自己肯定感が高まる
自己効力感(自分の可能性を信じる)が高まる
チャレンジ精神が高まる(他にも習慣を作ろうと思える)
など、あらゆる場所に影響を与えていきます。
ブレイクスルーには「体系的知識」が必要
これまでの繰り返しでは、ブレイクスルーは起きません。ブレイクスルーには、外の知識、外の経験、外の視点が必要です。
ブレイクスルーをもたらすのは、常に「現状の外の何か」です。
現状の外を、身近な人のアドバイスに頼るだけでなく、「多くの研究者が検証した、科学という知識」を利用するのは、とても効率が良いことです。
従って、上記の「適応型」で習慣化を開始するだけでなく、同時に「科学的な知見に基づいて、習慣化のアイデア・仕組み」を作るべきです。
まとめ
もし、あなたが「習慣を自由に構築、破壊する能力」を身につけられれば、どのような習慣を持ちたいですか?
私のおすすめは「究極の鍛錬」と呼べる行動を習慣にすることです。1年、2年、3年と経った時、大きな差を生み出してくれるはずです。
また、ダイエットにつながる良い習慣や、運動習慣、日記習慣などを「偶然の産物ではなく、意識して作ること」ができれば、私たちは、自信、自己肯定感、自己効力感を得ることができます。
さらに、同じようなアプローチで、さらに自分を磨いていきたい!というチャレンジ精神も生まれます。
そのためには、
適応型のアプローチ
科学的な知見に基づいた習慣化のアイデア、仕組みづくり
が欠かせません。
是非、上記のヒントを活用し、新しい一歩を踏み出してみてください。
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