忙しそうにしているのに、新しい知識や技術をどんどん学んでいる人って、いますよね。
しかも、学校教育や、受験対策のような勉強の仕方ではなく、応用が効く、柔軟性の高い知識、いわば本質を、「忙しいのに」 学んでいる人がいます。
このような人が採用する学び方には、様々な工夫があると思いますが、その1つを紹介したいと思います。
名付けて「2ステップ・エッセンシャル・ラーニング」です。
加速学習の基本コンセプト
加速学習(Accelerated Learning)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。加速学習は、1950年代に、ブルガリアの心理学者ゲオロギー・ロザノフ博士が提案した第2言語獲得のための「サジェストペディア」という教授法がスタートだと言われています。
ロザノフ博士が提案した教え方は、「サジェスト=暗示」を意味します。催眠術をかけて、操作するという意味ではなく、リラックスして、情報が入ってきやすい状況を作り、朗読(コンサートセッション)などを使って情報インプットします。その後は、演技、歌、ゲームなど、何らかの創造的な活動を通じて理解を深めます。
その後、様々な加速学習メソッドが生まれましたが、どの方法も、似ている部分があります。それは、以下の2ステップに分けられるところです。
潜在意識にインプット
アウトプットを通じた処理(理解)
このコンセプトを「2ステップ・エッセンシャル・マイクロラーニング」に応用すると、忙しい日常の中でも、本質を学び、自分のものにしやすくなります。
加速学習の効果について
ところで、加速学習と呼ばれる分野は、大学などの心理学の世界では聞きません。学問的には廃れています。また、自己啓発系で大々的に扱われたことで、胡散臭くなってしまったと思います。
加速学習の効果は、あるのでしょうか?それとも、ないのでしょうか?
答えは「わからない」と言えます。
例えば、本をパラパラめくって、情報をインプットできるとする速読方法があります。これが効くのか、効かないのかは、状況によるでしょう(対象への知識、目標、学習者の読書量、言語能力、書籍の表現方法など)。いつでも有効に働くものではないが、絶対にないとは言えないという立場で、使い所を試していくのが健全な在り方だと思います。
ところで、私は潜在意識というものは、あまり重要視していません。潜在意識のインプットを信じて、効果があると感じる人は使えば良いし、そんなの不要と思う人は、使わなければいいと思っています。その程度です。
それよりも大事なことは、 「効果的な学習方法を探し回るよりも、実際に学習しながら、学習方法を改善する」 ことです。
走りながら考える
ビジネスの世界では「走りながら考える」という言葉があります。これは、考えてばっかりではなく、行動し、行動の中で学び、考える。新しい情報が得られたら、そこからまた考えて、行動を変えていくことをさしています。
このような行動が行き当たりばったりに見える人もいるかもしれません。しかし、学問としては、研究が進んでいます。
具体的には「起業を行う人」を対象とした、様々な研究があり、これがまさに「考えながら走るとは何か?」を教えてくれます。また、その効果も教えてくれます。このような考えながら走ることに関して、最近では「エフェクチュエーション」という方法が注目を浴びています。
起業やビジネスは、「不確実な状況下で、意思決定し、成果を出していく」行動だと言えます。答えはわからないし、得られたものが「絶対の正解か、わからない」のがビジネスであり、起業であり、現実世界です。
実は「何かを学ぶ」というのも、同じです。
答えはわからないし、得られたものが答えかわからない。でも、前よりも成長できたことだけは確認できるのが学ぶことです。そして、自分の知識不足で、見えていないものがあり、前に進んだからこそ、全然違う目標を持つことになったりします。
一方で、学校教育で取り扱うものは「答えがわかっている」ものです。正解があり、正解に至る解き方が存在する「例外」的な学習です。
学校教育では、方程式で解けない問題を「例外」と扱いますが、逆です。綺麗に解ける問題こそが、例外であり、綺麗に解けない問題こそ、普通です。
正しい学び方(万人に当てはまる学習方法)は、存在しません。今のあなたにピッタリな学習方法は存在するかもしれませんが、あなたが成長すると、その学習方法では、それ以上成長できない限界にぶつかることになります。
このように考えると「走りながら学ぶ」という本質が見えてくると思います。
つまり、「絶対に成功する学習方法を探すよりも、とりあえず学び初めて、その学習を行動に変えてみる。その中で、学習方法を見直していく」ことが大切です。これを、私は、 メタ探求型学習 と呼んでいます。
2ステップで、行うこととは?
2ステップ・エッセンシャル・マイクロラーニングの枠組みは、すごくシンプルで、簡単です。誰でも、今日から実践可能です。
インプット by マイクロラーニング
アウトプット by マイクロドゥーイング
これだけです。
そして、この2ステップを行いながら「インプット」と「アウトプット」の仕方を、常に工夫し続けます。
これが、2ステップ・エッセンシャル・マイクロラーニングです。
忙しい時間に「大量インプット」し、本質を見つける
まず、ステップ1から説明します。
社会人の多くは、忙しい日常を過ごしていると思います。子育て世代や、介護をしているなら、さらに忙しいでしょう。
私の場合、健康や教育の大前提に「食事がある」と考えているので、料理を充実させています。素材を調理し、良い調味料でシンプルな味付けで、いろんな料理を作るようにしています。
結果として、朝、お弁当、晩ご飯、それらの洗い物を「五人分」行っていて、これだけでも、めちゃくちゃ忙しいです。妻が、仕事で遅くなる時は、お迎え、お風呂、洗濯も追加されるし、子供と遊ぶ、本を読み聞かせるなどもあり、大忙しです。
その上、息子と趣味のロードバイクを週に2回から3回乗るので、時間が足りなすぎて、ヒーヒーいっています。
それでも、学びを止めることはできません。そこで、どうしているかというと、「隙間時間」「ながら時間」を活用しています。
隙間時間や、ながら時間を集めれば、1日に2時間ぐらい確保することも可能です。もちろん、能動的な学習はできませんが、インプットには十分です。
例えば、皿を洗いながら、オーディオブックや、書籍の読み上げを聞くことは可能です。他にも、子供たちが本を読み始めたら、その横に一緒に座って、私も本を開きます。すると、他の子供達も、本を読むのが楽しそう!って思って、読み始めます。
5歳の娘は、文字はほとんど読めませんが、喜んで、絵本をめくっています。
このように、隙間時間、ながら時間を使って「リラックスしたインプット」をします。
本質を取り出す意識で、インプットする
ただし、単にインプットするのではなく、こう問いを立ててください。
「本質は何か?」
「最も重要なことは何か?」
「インパクトを与えるものは何か?」
この時、「今の自分にとって」や「将来の自分にとって」と付け加えると良いでしょう。
このように問いながら、インプットを行います。そして、インプットの仕方も工夫してください。
同じものを、何度も聞く中で「問い」の答えを探す
あえて、同じテーマの「違う書籍」をインプットして、共通項を探す
などすることで、本質を取り出しやすくなります。
本質から、行動を「創造」する
自分なりに、本質を取り出しつつ、やるべきことは「使ってみること」です。私たちは、インプットするだけでは、知識が定着しません。すぐに忘れてしまうし、既存の知識と結びつくことはありません。
必要なことは「アウトプット」や「行動」です。
簡単なアウトプットは、マインドマップを描いたり、日記に学んだことを書くことでしょう。あるいは、人に説明したり、ブログ記事にすることも良い方法です。
一方で、上記は全て「練習」に近いです。
本番(仕事など)でも、自分が得た本質を使うことにチャレンジしてください。本質を使う = 具体的な行動を自分で創造することになります。抽象概念を具体的な行動に落とし込むことこそが、知識を行動に変えることです。
この活動を「マイクロ」(小さく)を意識して実行します。
振り返りをしよう!
時々、この2ステップ自体を振り返ってください。
もっと良いマイクロなインプット方法はないか?
もっと良いマイクロなアウトプット方法はないか?
そもそも、もっと本質的なことにアクセスするには?
など、この2ステップの学び方自体を振り返って、改善し続けることが大切です。これこそが、メタ探求型学習になります。
まとめ
忙しいあなたこそ、2ステップ・エッセンシャル・マイクロラーニングをしましょう。方法は、以下の通りです。
インプット by マイクロ・ラーニング(本質を探す)
アウトプット by マイクロ・ドゥーイング(本質から行動を作る)
この2ステップを、時々振り返ってみてください。きっと、新しい発見があるはずです。
追伸
KAMEDEMYは、この2ステップを意識した情報提供をします。ニュースレターをおくりつつ、音声読み上げを提供しています。時々、「私の肉声による音声セミナー」を収録して、お届けします。
すぐに、何度でも聞いてもらえるように「音声ファイルダウンロード」も用意します。
楽しみにしておいてください!